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しょうゆSoy Sauce

たまり・白しょうゆは、あいちの特産品

しょうゆは、原料の大豆と小麦を麹にし、塩水を入れて発酵させた液体調味料。しょうゆには5種類あり、色の濃いものから順に、「たまりしょうゆ」「再仕込みしょうゆ」「濃口しょうゆ」「薄口しょうゆ」「白しょうゆ」となります。あいちではこのすべてが造られており、中でも「たまりしょうゆ」と「白しょうゆ」は特産品となっています。
「たまりしょうゆ」は、刺身や寿司に添えられる、とろみのあるしょうゆ。あいちの郷土料理・ひつまぶしや、知多地方ではラーメンのスープにも使われています。豆味噌を造る過程でにじみ出る(溜まる)液体を集めたのが始まりとされ、こっくりと濃厚なうまみや香りが特徴。見た目の割に、一般的な濃口しょうゆや薄口しょうゆよりも塩分量は少なめです。大豆の割合がもともと高いため、小麦を全く使わないグルテンフリーのたまりしょうゆも造られています。
そして、たまりと対照的なのが「白しょうゆ」。その名の通り、色が淡く、特有の風味があります。江戸時代後期に現在の碧南市で発祥したとされ、今も碧南市を中心に三河地方で造られています。色が薄いことで、お吸い物や茶わん蒸し、玉子焼きなどに重宝されます。

武豊町はたまりのふるさと。八尺桶での天然醸造を守り続ける「中定商店」を訪ねて

知多半島のほぼ中央に位置する武豊町。発酵に適した温暖な気候や良質な水に加えて、明治時代には鉄道駅や港が整備され、醸造業が飛躍的に発展しました。「みそとたまりの里」と呼ばれるこの町では、今も5軒の蔵が昔ながらの木桶を使い、天然醸造を行っています。今回は、その中でも明治12年から続く老舗「中定商店」の蔵を見学(要予約)しました。

■国登録有形文化財の「醸造伝承館」で、製造の流れと歴史を学ぼう

最初に向かったのは「醸造伝承館」。大正5年に建てられた食塩の保管蔵を活用しており、国の登録有形文化財に指定されています。館内には、中定商店の歴史と武豊の醸造文化を伝えるさまざまな史料や、製造の流れを学べるイラストパネルなどを展示。製造工程を知ると、たまりしょうゆが豆味噌造りの過程で生まれた、という歴史がよく分かります。
また、昔使われていた醸造関連用具も並んでおり、実際に触れて動かすこともできます。

  • 味噌から生まれるたまりの製造工程を、イラストで学べる
  • 何に使われていた道具だろう?と想像するのも楽しい

■おいしい菌を育む八尺桶と、たまりならではの汲みかけに感動!

続いては、実際に製造を行っている熟成蔵へ。そこには、見上げるほど大きな、八尺桶と呼ばれる杉桶がずらり! 武豊の蔵で主流の六尺桶よりも一回り大きく、これだけの数が現存するのは国内でも珍しいとか。
原料には厳選した国産大豆と天日塩のみを使用し、さまざまな菌が棲みつく蔵と杉桶の中で、熟成させること3年間。発酵が活発な夏、休眠状態の冬など、季節に応じて職人が菌の活動を手助けしながら、たまりしょうゆを育てていきます。
かつては豆味噌から染み出たたまりを桶の底から引き出し販売していましたが、現在はたまりと味噌それぞれが最もおいしくなるように、別々で仕込んでいます。中でも、味噌にはないたまり特有の工程が「汲みかけ」。底から上がったたまりをひしゃくで汲んで表面にかけるもので、この光景がなんとも神秘的。熟成度合いを均一にするほか、たまりを麹に浸透させてうま味を引き出す効果があるそうです。

  • 黒板塀のノスタルジックな佇まい。敷地内にはたくさんの蔵が建つ
  • 汲みかけを実演する六代目の中川安憲さん。夏場は重石の上にたまりが上がってくる
  • 八尺桶は高さ約2.55メートル。約13トンの味噌が仕込める ※撮影時のみ見学用のヘアキャップを外しています

■試飲であれこれ味比べ。自然に染み出た「生引たまり」は貴重品!

直売店「本蔵」では、自慢のたまりしょうゆをはじめ、味噌、こうじ、甘酒などの製品を購入できます。同じたまりしょうゆでも、仕込み水の量などでうま味の強さや味わいもさまざま。試飲ができるので、お店の方に気軽に声をかけてみて。
中でも、ぜひ試していただきたいのが「幻蔵 宝山たまり醤油」。味噌から自然に染み出た生引たまりで、高さ2メートルの桶からわずかしかとれない貴重品。国産丸大豆を長期熟成した、濃厚でまろやかなうま味が特徴です。

  • 迷ったら、3種のたまりしょうゆの小瓶セットもあり
  • 少量で料理にうま味を与える「幻蔵 宝山たまり醤油」

合名会社 中定商店 豆みそ・たまり醸造「伝承館」 詳細ページ

淡い色合いはどう生まれる? 碧南市「ヤマシン醸造」に伝わる、全国でも希少な白しょうゆ造り

碧南市が発祥とされる白しょうゆ。この地で200年に渡って白しょうゆを造り続けるのが「ヤマシン醸造」です。伝統を守りつつ研究を重ね、全国醤油品評会では2024年に二度目の農林水産大臣賞を受賞! 料理にこだわるプロユースの調味料や加工品の原料として、また最近は海外でも人気を集めるなど、活躍の場を広げています。そんな白しょうゆ最大の特徴は、素材を引き立てる淡い色合い。一般的なしょうゆからは想像できない透明感は、どのように生まれるのでしょうか。

■小麦9割、大豆1割で、淡い色合いと甘みのあるしょうゆに

三河湾に面したここ碧南市は、古くからさまざまな醸造業が盛んな土地でした。ヤマシン醸造に伝わる資料によれば、碧南市のある蔵人が、金山寺味噌から染み出す上汁をヒントに開発したものが、白しょうゆの始まりとか。
白しょうゆは、全国のしょうゆ生産量の中でも1%に満たない希少なもの。見学(要予約)を申し込むと、木桶を使った昔ながらの仕込み蔵を見ることができます。一般的なしょうゆは大豆と小麦が等量に対し、白しょうゆは小麦が多く、大豆は少量。空気に触れないよう2回に分けて仕込み、桶の中で約3ヶ月ずつ熟成させることで、淡い色合いと甘みのある白しょうゆが生まれます。

  • 伝統的な木桶のほか、クセの少ないタンク仕込みも手掛ける ※撮影時のみヘアキャップを外しています
  • 澄んだ色合いが特徴。着色を防ぐため非加熱で瓶に詰める

■高級料亭だけじゃない! 白しょうゆをもっと身近に

白しょうゆ=高級料亭などで使われるイメージが強いかもしれませんが、あいちでは家庭でも白しょうゆを使う文化があり、碧南市のお雑煮にも欠かせません。しょうゆ特有の強い香りが少なく、素材の色合いを生かせることから、和洋中さまざまな加工品の原料に使われるほか、海外への出荷も増えているそう。
入り口にある受付事務所では、商品の購入もできます。伝統的な木桶で仕込む看板商品「ヤマシン白醤油(特級)」や、白しょうゆに鰹節、さば節、煮干しいわし、しいたけ、昆布の出汁を加えた「白だし」は、さまざまな料理に手軽に使える万能調味料。いつもの食卓にあいちの白しょうゆを取り入れて、あなたも料理上手に!

  • 味わいのある看板と、丸型ポストが目印
  • 「ヤマシン白醤油(特級)」は、令和6年度の全国醤油品評会で最高賞受賞
  • 敷地内も風情たっぷり。麹造りから瓶詰めまで、建物ごとに工程が分かれている

ヤマシン醸造株式会社 詳細ページ

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