酢Vinegar
あいち発の酢が、寿司ブームの火付け役!
さっぱりとした味わいで、寿司や酢の物、ドレッシングなどに使われる「酢」。酢は世界最古の調味料とも言われ、米や麦、リンゴなどの原料をアルコール発酵させて酒にし、それを酢酸発酵させることで造られます。
あいちでも、食酢のトップシェアメーカーが本社を構えるなど、古くから酢造りが行われてきました。今でこそ製造技術が発達し、手軽な調味料として使うことができますが、江戸時代の酢はかなり高価なものだったといいます。そこに目を付けたのが先ほどの食酢メーカーの創始者で、酒造りの副産物である大量の酒粕から酢を製造。酒の代わりに船に積み込み、江戸に売り込んだのです。その狙いは見事的中し、江戸っ子に握り寿司の一大ブームを巻き起こしたとか。この酒粕から仕込んだ酢は「赤酢」と呼ばれ、赤味を帯びた褐色と、まろやかな甘みとうまみが特徴。今も、伝統的な江戸前寿司店では赤酢が多く使われています。
現在、日本で主流となっているのが、米を原料にした米酢。クセがなくやわらかな酸味が和食にもよく合います。一日大さじ1杯の酢を毎日飲むと、肥満気味の人の内臓脂肪を減少する、高めの血圧を低下する、食後の血糖値上昇を緩やかにする、カルシウムの吸収を高める、疲労回復を助けるなど、高い健康効果も注目されています。
半田運河沿いに建つ酢の博物館「ミツカンミュージアム」で、職人の酢造りをバーチャル体験!
あいちの誇る食酢のトップメーカー「ミツカン」。その創業の地である半田市に建つのが、酢の体験型博物館「ミツカンミュージアム」です。2024年には、最新のデジタルコンテンツを取り入れ、ますます楽しく遊べる施設にリニューアルしました。館内は5つの展示ゾーンがあり、見学には事前予約が必要。初めて訪れる人には、すべてのゾーンに入れるガイド付きの「全館コース」がおすすめです。
■展示と体験で酢造りを学び、船に乗っていざ江戸へ!
「大地の蔵」ゾーンでは、江戸時代の酢造りの流れを見ることができます。展示室は、以前この場所にあった酢の製造工場の柱や道具を生かしており、臨場感たっぷり。また、自分のアバターを通じて酢造りに挑戦する、体験型アトラクションも人気です。
ところで皆さんは、酢が酒から造られているのをご存じでしょうか。原料や工程を知ると、酒造業を営んでいた創業者が酢造りを始めたというエピソードにも納得です。
続いて、ミツカンと酢造りの歴史をたどるのが「時の蔵」ゾーン。長さ20メートルもの「弁才船」に乗り込み、江戸に酢を運ぶ船旅が体験できます。迫力ある映像にワクワクドキドキ、果たして無事に届けられるでしょうか……?
■MY「味ぽん」作りに、フォトスポットもたくさん
「光の庭」ゾーンでは、「ミツカン」の酢から発展した握り寿司のディスプレイをはじめ、思わず写真に収めたくなるフォトスポットがたくさん。また、館内では、専用アプリからミツカンオリジナルのARコレクションを手に入れることができ、ユニークな写真が撮影できます。
そして、旅の記念におすすめなのが、味ぽんスタジオでのMY「味ぽん」作り。自分の顔を撮影してラベルにし、世界にひとつだけの「味ぽん」を作ることができます。
■ショップで買える「江戸の粕酢」。 半田運河へも足を延ばして
ショップには、酢をはじめとした調味料や、かわいいオリジナルグッズが並びます。中でもぜひチェックしたいのが、創業の逸品「三ツ判山吹」。江戸の握り寿司ブームに大きく貢献したという粕酢を再現したもので、実は現在も建物下の工場で造り続けられています。これをさらに三年熟成させた「千夜」は、ミュージアムでしか手に入らない数量限定品となっています。
見学&買い物を終えたら、ミュージアムからすぐの半田運河沿いを散策してみましょう。かつて運河付近で造られた酢や酒は、船に荷積みされ、大量に江戸へと運ばれて行きました。現在も運河沿いには、ミツカンマークの掲げられた、風情ある黒塀の蔵が立ち並びます。