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日本酒Japanese Sake

飲み比べも楽しい、あいちの地酒

日本酒は、日本国内産の米、米麹、水を仕込み発酵させて造る、日本生まれのアルコール飲料を指します。「地酒」という言葉があるように、その土地の米と水を原料に造られる日本酒は、味わいや香り、口当たり、後味まで、地域ごとに個性豊か。あいちでは、木曽川や矢作川などの伏流水、尾張、三河の平野部や山間地域で育つ良質な原料米、気候風土にも恵まれ、各地でさまざまな酒造りが発達してきました。名古屋、尾張、知多、三河と、地域ごとの蔵の個性を飲み比べて楽しむのも、日本酒の醍醐味です。
あいちの酒造りの歴史は古く、古事記、日本書紀にも登場します。戦国時代には、織田信長の清洲城下に酒造業が現れたとの記録も。江戸時代に入ると、名古屋藩主二代目光友が酒造りを奨励し、名古屋城下、尾張藩内の酒造業は急速に発展しました。その産地は知多半島から西三河海岸地方に集中し、今でも多くの酒蔵があります。酒は船を使って江戸に運ばれ、灘(兵庫県)と肩を並べるほど、人気を博したと伝えられています。続く明治時代には、国内でも珍しい醸造試験所が常滑市に設立され、酒造りの画期的な製法を発明しました。
蔵人たちのたゆまぬ情熱と努力により、現在も40以上の蔵が酒造りを続けており、全国の酒好きから高い評価を受けています。

酒どころ・知多の歴史を宿す酒蔵へ。常滑焼とのペアリングで、日本酒の楽しみが広がる

知多半島・常滑市の伊勢湾沿いに蔵を構え、「白老」の屋号で知られる澤田酒造。幕末の1848年に創業し、明治時代には現在の酒造りの主流となる画期的な製法「速醸酛」を開発しました。この土地の気候と水を生かし、昔ながらの木の道具を使った丁寧な酒造りが評価され、第一回愛知県酒造品評会では第一位を獲得。古式伝承製法を守りつつ、常滑焼酒器とのペアリング提案など、新たな日本酒の楽しみ方を発信しています。

■醸し続けて170余年。古式伝承の地酒造りを見学

そばには知多半島の潮風が吹き、ほのかに酒の香りが漂う、趣のある黒塗りの建物。直売所の奥に酒蔵があり、予約制(有料)で見学ができます。酒造りには原料と道具、造りにこだわり、有名産地や地元で契約栽培する酒造好適米と、知多半島の湧水を使用。見学では、仕込み水を引く井戸も見ることができます。
2021年に完成した麹室では、昔ながらの麹蓋を用いた麹造り「製麹」が行われています。すべてのお酒において「麹蓋」での麹造りを行うのは、愛知県でも澤田酒造のみとか。少量ずつ盛るため、大箱での製麹と比べ、米のうまみをしっかりと溶け込ませることができるそうです。
仕込み&貯蔵室へ進むと、タンクがずらり。醪(もろみ)造りと呼ばれる最終工程で、タンクの中に蒸し米と麹と水を入れ、糖化と発酵により20~45日で酒が完成します。

※見学内容はコースや開催時期により異なります

  • 江戸時代から変わらぬ佇い
  • 仕込み水は淡麗な軟水で、まろやかな酒質に仕上がる
  • 木製の「こしき」(大型セイロ)で酒米を蒸すのは、全国でもわずか
  • 酒造りの責任者・杜氏(とうじ)が最も神経を使う麹造り
  • 小型のタンクで仕込み、それぞれの酒質に応じて管理する ※撮影時のみ見学用のヘアキャップを外しています

■常滑焼酒器での試飲体験や、角打ち、買い物も楽しんで

見学の後は、新たに誕生したテイスティングルーム「さかふね」で試飲タイム。醪を酒と酒粕に分けるための道具を「酒槽(さかぶね)」と呼び、中央の重厚なカウンターは、半世紀前まで使われていた酒槽をリメイクしたものだそう。
また、日本酒好きならぜひ試してほしいのが、常滑の作陶家とコラボレーションした「ささらけ」セット。それぞれの白老のお酒の特徴に合わせ4人の作陶家が造った酒器と、白老の地酒を組み合わせたペアリングメニューで、見て、香って、味わってと、五感で楽しむことができます。

さかふねでは毎週土曜を中心に角打ちも営業しており、1杯200円~のリーズナブルな価格で気軽に立ち飲みができます。
気に入った銘柄を買い求めるなら、隣接する直営店「澤田北倉」へ。いくつかのお酒は少しずつ試飲ができ、米も水もすべて地元産にこだわった純米大吟醸「知多の花露」をはじめ、知多ならではの地酒が並びます。

  • 2024年オープンのテイスティングルーム「さかふね」
  • 直営店「澤田北倉」。試飲もできるため、好みの銘柄が見つかる
  • 地酒と組み合わせた常滑焼酒器「ささらけ」
  • 地元産の酒米「若水」を100%使用した酒「白老」

■歴史展示室や、仕込み水の水汲みサービスも!

澤田酒造の歴史を伝える施設として、歴史展示室も完成しました。テイスティングルームの2階にあり、営業中は自由に見学可能(観覧無料)です。
「豊醸組」は知多の酒造業者で組織された組合で、酒質向上を目的として技術開発に取り組み、その試験場が、澤田酒造の蔵にありました。そこで開発された「速醸酛(そくじょうもと)」と呼ばれる製法が、現在の日本酒造りの礎となり、品質向上に大きく貢献したのです。

帰りには、駐車場脇にある「新水(しんず)」にも立ち寄りましょう。こちらは、仕込み水を無料で汲めるうれしいサービス! とてもやさしい軟水で、そのまま飲むのはもちろん、お米を炊いたり、コーヒーを淹れたり、お肌のケアにもおすすめとのこと。酒どころ・知多を生んだ、豊かな恵みを感じることができます。

  • 澤田酒造の歴史が詰まった展示室
  • 自然の恵みを頂ける「新水」

蔵元直営店 澤田北倉 詳細ページ

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